社会福祉法人大阪市社会福祉協議会・大阪市ボランティア・市民活動センターのスタッフブログです。




2015年1月22日木曜日

里帰り・ボランティアバスを運行しました♪(2)【現地視察編】

12月26日(金)午後、石巻で最後の里帰り家族が降りた後、現地視察をコーディネートしてくれる東日本大震災圏域創生NPOセンターの高橋さんと合流しました。
「向こうが見えないくらいあった松原は
枯れてしまいました。県外から来た被災前を
知らない人は、ここは前からこのような景色だ
と思ってしまいますよね。」と高橋さん
バスの中でたくさんのお話をしてくださった
高橋さん














視察先の小野駅前応急仮設住宅へ向かう道中、石巻の近況をお話くださいました。
 
「石巻市復興マルシェは、先月11月(2014年)で閉鎖となりました。土日は観光バスなどでたくさんの人が来たけれど、平日は難しかったみたいです。2年後は魚市場として再開する予定があります。線路ごと津波にのまれた野蒜駅があるJR仙石線は、なかなか復旧されなかったのですが、来年6月から再開予定の目途が立ちました。たくさんのこども達が仙台へ通学するのに使っていたのでよかったです。
早朝、宿泊先からのお散歩途中にて
(石巻市門脇町)

石巻は、移転が進んでいません。全流出や大規模半壊をした家の人たちのほとんどが仮設に入っています。中には修繕してその場にとどまり住んでいる人もいますが、地盤沈下が激しく、今までなんてことなかった雨でも浸水してしまいます。被災地に来たら、泊まった先でも避難経路を確認して、そういうことを考えながら被災地を回ってほしいと思います。」


≪小野駅前応急仮設住宅≫
東松島市小野駅前応急仮設住宅
目移りします。
みんなそれぞれお気に入りの
‘おのくん’を選びました。













ここは、お母さんたち手作りの‘めんどくしぇ おのくん’で有名です。
国内外問わずの大人気で、ネット注文では3か月から半年待ちだそうです。その入手困難な‘おのくん’がここでは手に入ります。材料は靴下。これで‘おのくん’を作ってほしいと送ってくる人もいるそうです。里帰りと言って、おのくんと一緒に再び訪れる人もいます。

わざわざ来てくれる人がいるので、
1個でも多く作ろうと365日休みなし。
「一生懸命していないと前に進めません。」
ミシンの達人。左右対称に縫います。
震災前は長く縫製の仕事をされていました。










自治会長さん
「ボランティアに巡り合ったのは、この震災から。
自分のお金を使って仕事を休んで
来てくれたことに一番びっくり、感動しました。」

 












自治会長さんを囲んでたくさんのお話をお聞きしました。

 「現在、ここでは23世帯が暮らしています。(仮設ができた時は80世帯いた)石巻市内には、たくさんの仮設住宅があるけれど、仮設全体がなくなったところはありません。この4月(2014年)、市から移転要請が(小野駅前仮設応急住宅の)全住民に出されました。
仮設から仮設への引っ越しです。出ていかなければならない日まで、数か月しかありません。市役所と5か月間話合い、あと3か月の延長、平成29年まで残れることが決まりました。でも、ここも結露がひどく、屋根はサビが出てきています。マンションに入った人は、孤立しすぎて仮設にいるよりしんどいと聞きます。寂しすぎるので、玄関の三和土に靴をたくさん置いておくそうです。」


- 4年経とうとする今、どんな支援を望みますか?という質問に対しては
 「ものはあふれんばかりにあります。今何が必要かと言われれば、お金や生活必要物資、住宅です。人が来てくれるのはうれしいです。‘おのくんのおかげでお客さんがたくさん来てくれます。意外と物はどうでもいいのです。震災で大切なのは、逃げることです。訓練用グッズなどはお飾りのようなもの。とにかく逃げて、命さえ助かれば、こうやって元気に生きていられます。」

- 今の復興の進み具合は? 
 「高台移転は山を崩してからなのでなかなか進みません。人でなく、建物などの復興重視なので、進んでいいいものか悪いものかわかりません。」
「おのくんと一緒に里帰りしてね!」
お見送りをしてくれました。

- 関西でも、南海トラフなど大きな災害が来ないと思っている人には、どう啓発したらよいでしょうか? 
 「経験した人に話を聞くこと。講演会など開いたらよいのではないでしょうか?震災後、2年間涙が出ませんでした。今では話ができるようになって、各地に話をしに行っています。呼んでください。」

高橋さんは現在、災害ボランティア割引制度整備実現に向けて、活動に励んでおられます。
全国各地で災害が頻発する中で、いち早く駆けつけてくれるボランティアが活動しやすいよう、高速道路や宿泊先などの割引制度を充実させようというものです。経験している被災地から声をあげるのが大事だと考えておられます。
また、震災で奥さんを亡くした農家の年配の男性が、季節外れに咲いたコスモスに力をもらった話をしてくれました。最近、年配男性のそういった話をよく聞くそうです。「心が健康になると何かしようという気にもなります。気持ちを支えてくれるのは、人の気持ちです。来てもらうだけでいいのです。」とおっしゃっていました。

短時間でしたが、みなさん心から丁寧に対応してくださいました。たくさんの話が心に響いた視察でした。
翌日からは、石巻市 大橋仮設住宅団地にてボランティア活動が始まります。

続きは「里帰り・ボランティアバスを運行しました♪(3)【ボランティア活動編】」です。(赤星)