社会福祉法人大阪市社会福祉協議会・大阪市ボランティア・市民活動センターのスタッフブログです。




2013年3月21日木曜日

【市民フォーラムおおさか】避難所1泊体験を開催しました!

大阪市ボランティア情報センターが事務局を担っている【市民フォーラムおおさか】と、大阪府立大等の学生ボランティアが中心となって、3月16日(土)~17日(日)の日程で、西成区にある、大阪市社会福祉研修・情報センターにて『避難所1泊体験』を開催しました。

参加者の皆さんには、普段の生活ではあまり意識することの少ない、『災害時の避難所における生活』について、1泊ではありますが、あらためて考え、体験するイベントとして企画しました。



今回は、非常に幅広くご参加いただき、上は80歳を超える方から下は1歳3か月のお子さんまで。車椅子を使用されている方、視覚障がいのある方、ご家族で参加された方、お独りで参加された方など、我々と学生ボランティアスタッフを含めると総勢60数人で『避難所1泊体験』がスタートしました。
昨年から何度もミーティングや勉強会を重ね、練り上げてきた今回の『避難所体験プログラム』は、全て学生ボランティアスタッフがイチから企画・運営してくれました!!



では、プログラム内容をご紹介しますと・・・
第1部では、会場となった大阪市社会福祉研修・情報センター周辺の『防災マップづくり』を行いました。研修・情報センターをスタート地点とした8つのコースを各チーム毎に指定し、一時避難所に想定したそれぞれのルートの公園まで、マップを片手に歩いてもらいながら道中にある、「避難する際に危険となりうる場所や物」、「防災設備」、「病院やコンビニなどの何らかの資源を持つ施設」など、普段何気には見てはいるが、防災という観点からは見落としがちになっているものを、それぞれ地図上にチェック。そして各チーム毎に大マップに『歩くことによって見つけたまちの情報』を詳しく書き込み、『まちの防災マップ』を完成させ、それぞれ発表しあいました。
今回は皆さん、あまり馴染みのない地域での防災マップづくりになってしまいましたが、ぜひこの経験を、ご自分が住んでおられる地域での防災マップづくりにつなげていただきたい、と感じました。






第2部では、『避難所を運営していくうえで必要とされる役割を体験する』ということで、以下の3つのプログラムを実施しました。

①食糧係 … 「食糧の調達及び、食事の準備・後片付け」
夕食のメニューは、 行政から準備していただいた『アルファ米』と自分達で『豚汁』を作る事にしました。食材調達から調理、後片付けまで、参加者の方々にやっていただきました。アルファ米とは、一度炊いたご飯を急速乾燥処理したお米で、常温で5年間の保存が可能です。お湯か水を注ぐだけで食べられるので、非常食やレジャー食として広く利用されています。



②施設係 … 「ダンボールシート等を利用しての避難所レイアウトづくり」
阪神淡路大震災の頃は、避難所内の「区画」や「通路の確保」という概念がなかったため、プライベートな空間など全くなく、近所の人ともバラバラで見知らぬ人ばかりで、体調が悪くても我慢してしまったり、また奥からどんどん詰めていく状態なので、トイレにも自由に行けない、といった避難所状況だったとか。そのような避難所内で体調を悪化させ、最悪亡くなってしまうという『関連死』を減らすために、避難所運営では『空間づくり』が大きな課題となっています。
今回は1m×1mのダンボールシートを床マットやパーテーションにして、避難所内に個室4部屋分と更衣室を製作してみました。また、Jパックス株式会社が製造している『暖段はこベット』も2台設置し、直に寝た場合、パネルマットに寝た場合、暖段はこベットに寝た場合で、それぞれの寝心地を比べてみました。






空間作りの際、視覚障がいのある参加者から、『夜、1人でもトイレが行けるように、点字ブロックを作ってもらえれば…』というお話があり、ダンボールを使って手作りの点字ブロックを作ってみました。このように、参加者の方からいろいろアイデアを出してもらえたのは嬉しいことでした。


③救護係 … 「関西学生BLS協会による心肺蘇生法講習会」
関西学生BLS協会は関西にある大学・専門学校等の医学生・歯学生・看護学生で組織する学生団体で「命の教育、心肺蘇生教育を通して明るい社会づくりを」というテーマのもと、学校・介護施設等で心肺蘇生法普及活動を展開している団体です。今回は避難所での救護活動体験ということで、心肺蘇生法等の初期救助活動の講習をしていただきました。


第3部は、『アロマハンドケア体験』、『HUG(避難所運営ゲーム)』、『サラダオイルを使ってのキャンドル作り』、『古新聞を使ってのスリッパづくり』、『避難所受付RPG』、『防災カルタ』などいろいろなコーナーをご用意し、みなさんにご自由に参加していただくプログラムとしました。


  

23時には完全消灯ということで、22時過ぎにはみなさん寝る準備を始めました。それぞれ、寝袋やマットを持ってウロウロしておりました(笑)。
昼間に作成した、パーテーションを施した個室及び暖段はこベットは障がいのある方や、お子さん連れのご家族に使用していただきました。 それではみなさん、一日お疲れ様でした!!




2日目は7時起床。みなさんよく眠れましたか? (私は神経質なものでよく眠れませんでした…涙)
朝食(アルファ米とインスタントのみそ汁)を食べ、少し休憩したところで、いよいよ最後の講演会プログラムとなりました。『避難者の声を聴く』ということで、パネルディスカッション形式で行ないました。(大阪市ボランティア情報センターの石田所長と修田さんをゲストにお迎えしました) 修田さんが福島県の避難区域にあるご自宅に、ご家族で一時帰宅された際の写真を見ながら、今なお復興の糸口さえ見えない故郷への思いを語っていただきました。


≪参加者のご感想≫
・小学校等の実際の避難所を使用しての体験をしてみたい。今回の大学生のような若い人の意見を反映できる仕組みの必要性を感じた。
・自分の防災への意識を高めるだけではなく、意識していない人々に、どうアプローチし、巻き込んでいくのかが大切である。
・特別なことをするのではなく、周りの人達との日頃からの意思疎通をしておくことも、防災につながるのだと感じた。
・実際の災害時には、障がいのある方ほど辛い思いをされると思うので、積極的にお手伝いをしたいです。
・少し緊張感がなく、お泊り体験的であったのは残念。
・今回恵まれた環境だったが、もっと切迫したリアルな設定(電気・水・空調の制限)でもよかった。
 
などの、ご意見・ご感想をいただきました。みなさん本当にお疲れ様でした。


今回の避難所1泊体験は、参加者のみなさんの感想にもあるように、実際の避難所生活とは程遠く、大変恵まれた環境だったと思います。しかし、様々な社会的背景の方々に参加していただいたことで、防災を考えるうえで、見えていなかったもの・気付かなかったものが、存在していると感じていただけたのではないでしょうか。今後も、このような避難所体験プログラムを企画・検討中ですので、その際は、またHP等でお知らせさせていただきます。 (荒野)

※なお、今回の様子はツイッターでもリアルタイムに配信しておりました(お気づきでしたか?)。こちらには掲載されていない写真もアップしていますので、是非、さかのぼってご覧くださいませ♪